2017年5月11日木曜日

若きウェルテルはその後、まったく悩まなくなった

 昔、「若きウェルテルの悩み」を読んで憂鬱になってしまう若者が出てきたのを憂慮した人が、自ら筆を執り、続編を書いてしまったという。
 ウェルテルが結婚し、勤勉に仕事をするという筋書きらしい。むろん悩んだりはしないと推測する。
 昔の人は偉い。今、漫画やビデオに文句言う人たちで、ただの一人も続編を制作して倫理を問う人などいない。言いっぱなしだ。
 非倫理的な漫画の主人公が何とか母の会に賛同したり、新日本婦人の会に賛同したり、夫人民主新聞を購読したりして、真人間になり、慎ましく生きて行くなどという続編・・・ガツンとおばちゃんになり、野菜買っている場面で終わったりすると感動する人がいるかも。
 そういう神続編で世を啓蒙しようという事はなくて、こういう表現は禁止しろと騒ぐだけだ。

「若きウェルテルの悩み」の続編の話は、ハイネが散文で書いている。ハイネはかなり辛辣な散文の書き手で面白い。
 でも、今は絶版になっていて、再販もおそらくされないから、古本か図書館で読むしかないだろう。すぐに書名も出て来ないのは、昼なお暗い部屋の奥地に行ってしまっているからだ。
 今度、探し出して、それについて書いてみようと思う。